前回の記事でも、自筆証書は検認があって、家庭裁判所へ申し立てをしないといけないという事がわかりました。
しかし自筆証書でも検認が不要になる新しい制度が制定されました。それが、法務局に遺言書を保管してもらえる、「遺言書保管制度」というものです。
遺言書保管制度とは
では、この新制度は何ができるのかを見ていきたいと思います。
法務局のHPを見ると、この制度の特色の記載がありましたので、一部抜粋をさせて頂きます。
①自筆証書遺言に係る遺言書を法務局(遺言書保管所)でお預かりし,その原本及びデータを長期間適正に管
理します(原本:遺言者死亡後 50 年間 / 画像データ:遺言者死亡後 150 年間)。
②保管の際は,法務局職員(遺言書保管官)が民法の定める自筆証書遺言の方式について外形的な確認(全文,
日付及び氏名の自書,押印の有無等)を行います。
上記2つを法務局がやっていただけるのは、大変ありがたい制度だと思います。
保管制度を利用するメリットとは
そしてまず、この①の特色で遺言書をお預かりして頂くという事で、利用者に何のメリットがあるかというと、前回の記事でお話しました、検認のお話を思い出してください。まだ見ていないという方は短い記事なので、一度ご参照ください。→自筆証書遺言の検認について
自筆証書遺言は自宅等に保管するので、改ざん等の心配があるので、家庭裁判所に検認をする必要がありました。が、この制度を利用すれば、自筆証書遺言と言えど、検認の心配がなくなるという制度になります。また、検認は書式のチェック等はしないという事も前記事で書きましたが、なんと、法務局で書式の確認までしてくれるというのだから大変便利な制度だと思います。
しかし、大変便利な制度ですが、やはり問題もあります。
保管制度の弱点とは
それが遺言書の内容に関しては相談はできないという事です。あくまで保管が目的なので、内容のチェックまでは行っていないので、やはり内容に曖昧な点があれば、不動産や、銀行の手続きで不都合が生じる可能性は否定できません。遺言書の内容に関しては、ご自分でしっかり記載いただくか、専門家のアドバイスが重要になってくると思います。
利用するにはいくつかのルールを守らないといけない
保管制度の申請にあたり、民法上の要件に加えて、守っていただかなければならない様式のルールが何点かあります。
例えば、『用紙はA4サイズで、上下左右に余白を設ける』『ホチキス止めなど、綴じてはいけない』『各ページにページ番号を記載する』など、細かい規定があります。(一部のみ記載しておりますので、詳細は公式HPを参照ください。)
こちらのルールを知らずに提出すると、書き直しになる等で、手間が増えてしまうので、あらかじめご注意ください。
その他にも保管の申請は本人でなければいけない、つまり代理人による申請は認められていませんので、歩くのが不自由な方にとっては大きなデメリットになるかもしれません。
だからこそ、『まだ元気で、自分で法務局へ行けるうちに』内容をしっかり検討し、申請の準備を万全にしておくことが非常に重要です。 いざ必要になった時に動けなくては、この制度を利用する事が難しくなってしまう可能性があります。
ご自身の希望を確実に叶えるためにも、まずは専門家に相談し、不備のない遺言書の内容を固めておくことをお勧めします。
また、申請の際には予約が必要になりますので、事前に予約をせずに法務局に行っても手続きが出来なかった等もありますので、ご注意ください。
まとめ
今回は新制度の遺言書保管制度について記載させて頂きました。大変便利な制度ではありますが、やはり注意しないといけない部分はいくつもありますので、もし不明点や、特に遺言書の内容に関してどのように記載するのが良いのかわからない等でお困りの方は是非当事務所にご相談ください。
そして遺言書保管制度等をご活用頂き、お客様が安心した老後生活を送れる一助にして頂きたいと思います。

