法人で宅地建物取引業(宅建業)の免許を取得しようと考えたとき、最初の関門となるのが必要書類の多さです。
個人申請とは異なり、法人の場合は会社そのものの書類(登記簿謄本・定款・株主名簿)に加えて、役員全員分の証明書が必要となります。役員が3人いれば、身分証明書も登記されていないことの証明書も3人分集めなければなりません。

「結局、何をどこで、何枚揃えればいいのか分からない」「定款に書いてある事業目的のままで申請できるのか」「5年に一度の更新では何が変わるのか」——多くの法人代表者が、ここでつまずきます。

実際、宅建業免許の必要書類は、書類によっては本籍地の市区町村でしか取れないものや、法務局でしか発行されない証明書などもあり、平日にあちこち回らなければなりません。

この記事では、埼玉県知事免許を専門に扱う行政書士の立場から、

  • 法人の新規申請で必要な書類
  • 法人の更新申請で必要な書類
  • それぞれの取得先・費用
  • 法人申請で特につまずきやすい書類トラブル・補正事例

を、見やすいチェックリスト形式でまとめます。読み終わるころには「自社のケースで何を揃えればよいか」が一通り把握できる構成にしています。


目次 [ close ]
  1. 1. 宅建業免許の基礎をさっとおさらい
  2. 2. 法人申請ならではの「3つの注意点」
    1. ① 定款の「事業目的」に宅建業が入っているか
    2. ② 役員全員分の書類が必要
    3. ③ 設立直後で決算が未了の場合の対応
  3. 3. 新規申請で必要な書類【法人知事免許を中心に】
    1. 3-1. 会社(法人そのもの)に関する書類
    2. 3-2. 役員に関する書類(全員分が必要)
    3. 3-3. 宅地建物取引士に関する書類
    4. 3-4. 事務所に関する書類
    5. 3-5. 申請書本体・付属書類
  4. 4. 更新申請で必要な書類【5年ごと】
    1. 新規との共通書類(多くは再取得が必要)
    2. 更新申請でとくに必要となるもの
    3. 更新の落とし穴(法人)
  5. 5. 「どこで取れる?」書類の取得先早見表
  6. 6. 法人申請でよくある「書類トラブル・補正となりやすい事例」
    1. ① 定款の事業目的に「宅地建物取引業」が入っていない
    2. ② 身分証明書を「免許証」と勘違い
    3. ③ 「登記されていないことの証明書」の申請ミス
    4. ④ 役員の書類が一人分足りない
    5. ⑤ 事務所写真の不備
    6. ⑥ 賃貸借契約書が個人名義のまま
    7. ⑦ 設立直後で決算書がないのに対応書類がない
    8. ⑧ 写真の解像度・サイズ違い
  7. 7. 書類準備〜免許交付までの期間目安
  8. 8. 行政書士ねこのもり事務所のご案内
    1. 当事務所では、埼玉県知事免許を専門に、法人の新規申請・更新申請いずれも以下の範囲で代行いたします。
    2. 料金のご案内(税込表示)
  9. 9. 最後に
    1. 注記

1. 宅建業免許の基礎をさっとおさらい

宅建業免許は、宅地建物取引業法に基づき、不動産の売買・交換・賃貸の媒介や代理を業として行うために必要な免許です。

  • 知事免許:事務所が一つの都道府県内にのみある場合 → 都道府県知事が免許権者
  • 大臣免許:事務所が二つ以上の都道府県にまたがる場合 → 国土交通大臣が免許権者
  • 有効期間:5年間。期間満了の 90日前から30日前までの間に更新申請が必要(過ぎると改めて新規申請扱いになる場合がございます)。

埼玉県内にのみ事務所を構えるなら埼玉県知事免許となり、提出先は埼玉県庁(第2庁舎)の都市整備部 建築安全課 宅建業免許担当になります。
【提出先】
〒330-9301 さいたま市浦和区高砂三丁目15番1号 埼玉県庁 第2庁舎1階
都市整備部 建築安全課 宅建業免許担当(電話 048-830-5492)
※窓口申請は事前の電話予約が必要です。

注意:宅地建物取引業免許証の交付を受けるまで、宅建業に関する広告を含む営業を開始できません。

営業開始前に「営業保証金の供託(本店1,000万円・支店500万円)」または「保証協会への加入(弁済業務保証金分担金 本店60万円・支店30万円)」のいずれかが必要です。


2. 法人申請ならではの「3つの注意点」

法人申請の必要書類リストに進む前に、法人だからこそつまずきやすいポイントを3つだけ押さえておきます。

① 定款の「事業目的」に宅建業が入っているか

定款の事業目的に「宅地建物取引業」の文言が入っていない場合、まず目的変更登記を行ってから免許申請に進む必要があります。免許申請より先に法務局での登記変更が必要になるため、最も時間がかかる工程です。

② 役員全員分の書類が必要

身分証明書、登記されていないことの証明書、略歴書、誓約書は、取締役・監査役全員分を揃えます。一人でも書類に不備があれば、申請全体が止まります。さらに、5%以上を保有する株主についても情報の届出が必要です。

③ 設立直後で決算が未了の場合の対応

設立してすぐに宅建業免許を取りたい会社では、まだ決算が完了していないため決算書がありません。この場合は開始貸借対照表(成立時貸借対照表)などで代替するため、別途準備が必要です。


3. 新規申請で必要な書類【法人知事免許を中心に】

ここが本記事のいちばんの核です。法人申請に必要な書類をグループに分けて整理します。

3-1. 会社(法人そのもの)に関する書類

  • 法人の履歴事項全部証明書
    ※取得先:法務局/3ヶ月以内のもの
    ※一部例外を除き、会社法人番号を申請書第一面の右上余白に(電子申請では経営体情報に)記載をすれば履歴事項全部証明書の添付を省略できる場合がある。
    ※事業目的に「宅地建物取引業」の文言があることを必ず確認。
  • 定款の写し
    ※末尾に「この写しは原本と相違ありません」と原本証明したもの
    (日付・会社名・代表者名を記載。埼玉県では押印は不要)。
  • 法人税の納税証明書(その1 納税額等証明用)
    ※申請直前1年分が必要。最初の事業年度の申告期限が到来していない場合は不要です。
    ※交付請求先は本店所在地を所管する税務署です。
  • 直近事業年度の決算書(貸借対照表・損益計算書・販管費明細)
  • 設立直後で決算が未了の会社:開始貸借対照表(成立時貸借対照表)

3-2. 役員に関する書類(全員分が必要)

代表取締役だけでなく、取締役・監査役全員について以下を揃えます。
※なお、代表者が常勤しない事務所に責任者として「政令使用人」を置く場合は、その方についても同様の書類が必要です。

  • 身分証明書(本籍地の市区町村で発行)
    ※身分証明書とは、個人に対して、裁判所から民事処分(禁治産・準禁治産、後見、破産)がないことを公証する証明書です。運転免許証・マイナンバーカードはここでいう「身分証明書」ではないので注意ください。
    ※取得は本籍地の市町村です。郵送請求も可能です。自治体や郵便事情によりますが、往復で2週間ほど見ておくとよいと思われます。
    発行から3ヶ月以内かつ最新の情報のものが求められます。
  • 登記されていないことの証明書
    ※成年被後見人・被保佐人・被補助人に該当せず、任意後見契約の本人として登記されていないことを証明する書類です。
    ※東京法務局または各地方法務局の本局で交付申請ができます(埼玉県の場合はさいたま地方法務局)。郵送請求は東京法務局のみの扱いです。
    発行から3ヶ月以内かつ最新の情報のものが求められます。
  • 略歴書
    ※未記載の部分があると補正の対象になる可能性もありますので、記載にはご注意ください。
  • 誓約書
    ※欠格事由に該当しない旨を宣誓するもの。役員ごとに作成。

3-3. 宅地建物取引士に関する書類

  • 宅地建物取引士証の写し(表裏/有効期限内のもの)
  • 専任の宅建士の設置証明書(兼業の場合は別事業との関係を示す資料)
  • 必要に応じて資格登録簿の写し

宅建士は事務所ごとに 従業員5人につき1人以上の設置が必要です。最低でも1名は専任で確保する必要があります。なお、役員のうち1名が専任宅建士を兼ねることも可能で、そのケースでは別途その役員の宅建士証も提出します。

3-4. 事務所に関する書類

  • 事務所の写真
    撮影箇所は 外観・建物入口・看板・室内全景・応接スペース・宅建士の机回り
    看板未設置・応接スペース不備・他社との明確な区分なしは不備の三大原因です。
  • 事務所の所在地図・案内図
    最寄駅からの導線・目印を入れたものを作成します。
  • 使用権原を示す書類
    ※賃貸借の場合:契約書の写し(用途が「事務所」になっていることが必須/借主名は会社名になっていることに注意)
    ※自己所有の場合:建物登記簿謄本
  • 間取り図・レイアウト図
    応接スペース・宅建士の机・事務スペースの位置関係が分かるもの。

法人ならではの注意:賃貸借契約書が代表者個人名義になっている場合、原則として法人名義への変更または法人への転貸を承諾する書面が必要になります。

3-5. 申請書本体・付属書類

  • 免許申請書(第一面~第五面)
  • 宅建業者名簿登載事項
  • 専任の取引士の届出書
  • 相談役・顧問・株主の名簿(5%以上の株主等)
  • 誓約書(欠格事由に該当しないことを宣誓)

4. 更新申請で必要な書類【5年ごと】

更新は新規より楽……と思われがちですが、新規時とほぼ同じ書類を揃え直す作業になります。

新規との共通書類(多くは再取得が必要)

  • 役員全員の身分証明書/登記されていないことの証明書新たに取り直し。3ヶ月以内のもの
  • 略歴書・誓約書(最新版に更新)
  • 法人の履歴事項全部証明書(最新のもの)
  • 事務所の写真(現況の写真を撮り直し)
  • 賃貸借契約書等(更新されていれば最新版)

更新申請でとくに必要となるもの

  • 事業に関する報告書(直近5期分)
  • 現在所持している免許証(原本)
  • 役員・専任宅建士・株主の変更があれば、変更を反映した名簿一式
  • 直近5期分の決算書

更新の落とし穴(法人)

  • 「役員に変更なし」でも、書類自体は新規と同じ枚数を準備し直す必要があります。
  • 5年の間に役員が交代している場合、退任役員のぶんは過去のものでよいわけではなく、現在の役員構成で書類を整えます。
  • 更新申請は、有効期間満了日の90日前から30日前までに行うのが原則です。この期間を過ぎても、満了日までに申請すれば免許自体は失効しませんが、遅れた理由を説明する始末書の提出を求められたり、口頭で指導を受けたり、その場で受理されず保留になるなど、扱いが不利になります。
    さらに満了日が近いと補正の時間が取れず、申請が間に合わなくなるリスクも高まります。
    満了日そのものを過ぎてしまった場合は、従前の免許は失効します。失効後は営業を続けられず新規申請をやり直すことになります。
    いずれにせよ、期限の3〜4ヶ月前には準備に着手するのが安全です。

5. 「どこで取れる?」書類の取得先早見表

主な書類取得先
法人の履歴事項全部証明書/土地・建物登記簿謄本法務局
役員全員の身分証明書本籍地の市区町村
登記されていないことの証明書東京法務局 後見登録課
(窓口は各地方法務局の本局)
法人税納税証明書税務署
法人事業税納税証明書県税事務所
定款の写し・略歴書・誓約書・配置図・株主名簿 等会社(自社)で作成
賃貸借契約書の写し・使用承諾書不動産会社・大家

ポイント身分証明書は本籍地でしか取れないため、本籍が遠方にある役員がいる場合は早めに郵送請求を。役員が全国に散らばっているケースでは、書類取得だけで2〜3週間かかることもあります。


6. 法人申請でよくある「書類トラブル・補正となりやすい事例」

これまでに当事務所で見聞きした、法人代表者がつまずきやすいポイントです。

① 定款の事業目的に「宅地建物取引業」が入っていない

非常によくあるケースです。「不動産の売買・賃貸」とだけ書かれていても、「宅地建物取引業」という文言が必要です。気づかずに申請しようとして、目的変更登記から始めるはめになり、1〜2ヶ月のロスが発生することがあります。

② 身分証明書を「免許証」と勘違い

役員が複数いると、誰か一人が運転免許証のコピーを送ってきて気づく……というケースが多いです。宅建業免許でいう身分証明書は本籍地の市区町村が発行する公的書類を指します。

③ 「登記されていないことの証明書」の申請ミス

この証明書は東京法務局等で取得しますが、申請時のミスで取り直しになる例が目立ちます。

  • チェック欄の漏れ
    申請書には「成年被後見人」「被保佐人」「被補助人」「任意後見契約」など複数の証明項目があります。宅建業免許ではすべてにチェックが必要で、一つでも漏れると不完全な証明書となり、県の審査で差戻しになります。
  • 住所・氏名の誤記
    証明書は申請書どおりの表記で発行されます。
    住民票など他の提出書類と住所・氏名の表記(番地の書き方、旧字体など)が一致していないと、同一人物と確認できず取り直しになる場合があります。

④ 役員の書類が一人分足りない

取締役は揃ったが監査役を忘れていた、非常勤役員のぶんを失念していた、というパターン。役員全員分が必要です。

⑤ 事務所写真の不備

  • 看板(会社名)が未掲示
  • 応接スペースが事務スペースと区切られていない
  • 宅建士の机が独立しておらず、他社と共用に見える
  • ドア越しの写真など不鮮明・暗すぎる写真

事務所要件は審査でとくに厳しく見られる部分です。

⑥ 賃貸借契約書が個人名義のまま

事業所として借りている部屋の契約者が代表者個人名になっている場合、法人名義への変更や、法人への転貸承諾書を別途用意する必要があります。

⑦ 設立直後で決算書がないのに対応書類がない

新会社で決算書がない場合は、開始貸借対照表等の代替書類を整える必要があります。

⑧ 写真の解像度・サイズ違い

顔写真・事務所写真ともに、規定の枚数・サイズ・撮影時期から外れると補正の原因になります。


7. 書類準備〜免許交付までの期間目安

法人申請の場合、役員の人数だけ書類が増えるため、自社準備では想定より長引くことが珍しくありません。

【標準スケジュール(埼玉県知事免許/法人新規の場合)】

  1. 書類準備期間 ………………… 約3〜6週間
    役員全員分の身分証明書・登記されていないことの証明書の取得、決算書整理、事務所写真撮影、申請書作成など。本籍が遠方の役員がいる場合や、役員が多い場合は長くなります。
  2. 申請受付〜免許通知 ……… 約35日
    埼玉県の標準処理期間は25日です。実務では郵送や休日の関係で35日前後で免許通知が届くことが多く、申請内容に補正が入るとさらに延びます。
  3. 免許通知後の手続き ……… 当日〜数週間
    ・営業保証金を供託する場合:最短で当日中に供託でき、翌日から営業開始が可能
    ・保証協会に加入する場合:入会申込・入会金・弁済業務保証金分担金の納付などに数週間程度
  4. 営業開始

【全体の目安】

申請から営業開始までの期間は、選ぶルートによって変わります。
・保証協会に加入する場合 …… おおむね2ヶ月程度
 (審査 約35日 + 免許通知後の加入手続き 数週間)

・営業保証金を供託する場合 … おおむね1.5ヶ月程度
 (審査 約35日 + 供託は最短当日)

新設法人の多くは、1,000万円の供託に代えて保証協会(弁済業務保証金分担金 本店60万円・支店30万円)を選ぶため、実際には2ヶ月程度を見込んでおくと安全です。設立直後の会社や役員数の多い法人は、最初の書類準備に時間がかかり、これより全体が長くなる傾向があります。

行政書士に依頼すると、本籍地への郵送請求や法務局取得、申請書類の作成までを並行して進められるため、書類等の準備期間を大幅に短縮できます。

8. 行政書士ねこのもり事務所のご案内

当事務所では、埼玉県知事免許を専門に、法人の新規申請・更新申請いずれも以下の範囲で代行いたします。

  • 必要書類のヒアリング・チェックリストにて確認
  • 役員全員分の役所書類(身分証明書・登記されていないことの証明書・登記簿謄本など)の取得代行
  • 申請書類一式の作成代行
  • 埼玉県への申請・補正対応の代行
  • 営業保証金・保証協会加入手続きのご案内
  • 定款の事業目的変更登記が必要な場合のご相談(必要に応じて司法書士の先生をご紹介することも可能です)

なお、個人事業主として宅建業免許を取得したい方にも対応しております。詳しくはお気軽にお問い合わせください。

越谷市・春日部市・吉川市等をはじめ、埼玉県全域でご対応しております。

料金のご案内(税込表示)

サービス内容知事免許国土交通大臣免許
新規申請100,000円120,000円
更新申請50,000円80,000円
変更届出30,000円30,000円

※ 上記の報酬額のほか、以下の実費が別途必要となります。

  • 埼玉県申請手数料(知事免許/新規・更新共通)
    ・窓口申請(書面):33,000円
    ・eMLITによる電子申請:26,500円
    ※電子申請のほうが6,500円安くなります。電子申請の場合、後日メールで届く「納付依頼通知」に従い納付します。ただし、利用にはGビズIDプライムのアカウントの取得が前提です。取得には2~3週間はかかりますので、アカウントを持っていない場合は注意が必要です。
  • 国土交通大臣免許の登録免許税・申請手数料は別途お見積りいたします
  • 身分証明書・登記されていないことの証明書等の取得費用・郵送費・交通費

※ 専任の宅建士が不在になった場合は30日以内の変更届出が必要です。詳しくは「専任宅建士不在時の変更届出について」のページもご参照ください。


9. 最後に

「役員全員分の書類を集めるだけでも大変そう」
「定款の目的変更が必要かどうか分からない」
「期限が迫っているのに、書類集めに手が回らない」

そんな方は、まずはお気軽にご相談ください。
相談は無料で、御社の状況をお伺いし、必要書類リスト・スケジュール・お見積りをその場でご案内します。


注記

  • 本記事は 2026年5月時点の情報をもとに作成しています。法令・様式・運用は変更される可能性があります。最新の取扱いは埼玉県の担当窓口または当事務所までご確認ください。